「ハワイ旅行中に説明会へ誘われた」「空港で声をかけられた」——HGV(ヒルトングランドバケーションズ)を知るきっかけは、たいていこのどちらかではないでしょうか。
私自身、新婚旅行帰りの羽田空港で声をかけられたのがきっかけでした。後日コンラッド大阪での説明会に参加し、その場で購入を決めた、ハワイ物件・隔年プランのオーナーです。
この記事は、HGVについて私がこれまで書いてきた記事の「親ガイド」です。仕組み・費用・隔年プラン・損益分岐点・後悔したことまで、売る側ではなく買った側の立場で、実際の数字とともに全体像をまとめました。各章の最後に詳細記事へのリンクを置いているので、気になるところから深掘りしてください。
HGVとは?タイムシェアの仕組みを3分で理解する
HGVは、ヒルトンが運営するタイムシェア(バケーション・オーナーシップ)のブランドです。タイムシェアとは、ひとつのリゾート物件を複数のオーナーが「時間を分けて所有する」仕組みで、イメージとしては「高級リゾートの一室を、決まった期間だけ使う権利を買う」ものです。
ただしHGVの場合、実際の運用はポイント制です。購入した物件に応じたポイントが付与され、そのポイントでHGV系列のリゾートに宿泊します。重要なのは、購入した物件にしか泊まれないわけではないこと。私はハワイの物件を購入しましたが、同じポイントで沖縄・小田原・ラスベガス・カンクンなど国内外の系列施設にも泊まれます。
もうひとつの特徴が、部屋そのものが「暮らせる」仕様になっていることです。私が泊まったホクラニ(ワイキキ)の1ベッドルームは約50〜55㎡で、キッチン・電子レンジ・食洗機・食器類・コーヒーメーカーまで完備でした(洗濯機はなし)。瀬底(沖縄)の2ベッドルームは約85〜90㎡あり、6〜8人掛けのダイニングテーブル、乾燥機付き洗濯機、シャワー室・トイレ・洗面台が2つずつという、もはや住宅に近い設えです。連泊や家族旅行のとき、一般的なホテルの客室との差が一番出る部分だと感じています。
▶ 実際の部屋の様子はこちら:HGVホクラニ宿泊記【コロナ直前のワイキキ3泊】(瀬底の宿泊記も近日公開予定です)
一方で「ホテルのサブスク」とは違い、不動産的な権利の購入です。初期費用は数百万円規模になることが多く、購入後も維持費がかかり続けます。このあたりの感覚のズレが、あとで紹介する「後悔」につながりやすいポイントです。
▶ 仕組みの詳細と私の購入ストーリーはこちら:
HGVとは?タイムシェアの仕組みとポイント制度をオーナーが解説
費用のすべて|初期費用と毎年かかる維持費
検討中の方が一番知りたいのはお金の話だと思うので、私の実額をそのまま書きます。
初期費用(購入費)は物件とポイント数によって大きく変わります。私の場合はハワイ物件・隔年プランで約26,000ドル。購入した2019年夏は1ドル約106〜109円だったので、円換算で約250〜300万円でした。
そして見落とされがちなのが年間維持費です。私の直近4年間の支払額はこのとおりです。
| 年 | 支払額(円) | ポイント付与 |
|---|---|---|
| 2023年 | 226,100円 | あり |
| 2024年 | 36,295円 | なし |
| 2025年 | 298,872円 | あり |
| 2026年 | 42,871円 | なし |
隔年プランでも維持費は毎年発生し、ポイント付与年は20〜30万円規模になります。2年平均にすると実質年間13〜17万円。請求はドル建てで、12月時点の為替レートで円換算されるため、円安の年は支払額が増えます。
ここで強調しておきたいのは、HGVは「宿泊費が無料になる」のではなく「宿泊費を前払い+維持費に置き換える」仕組みだということです。「タダで泊まれる」という感覚で買うと、毎年の請求書とのギャップに苦しむことになります。
▶ 維持費の内訳と為替の影響はこちらで詳しく:
HGVの維持費を公開|リアルな年間コストを解説
隔年プランと毎年プランの違い|私が隔年を選んだ理由
HGVの所有プランは大きく2種類あります。
| 毎年型(EY) | 隔年型(EOY) | |
|---|---|---|
| ポイント付与 | 毎年 | 1年おき |
| 維持費 | 毎年高額 | 付与年は高額・非付与年は安い |
| 購入価格 | 高め | 安め |
| 向いている人 | 毎年必ずリゾート旅行する人 | 2年に1回のペースで楽しむ人 |
なお、毎年型が高いのは「毎年ポイントをもらえる=隔年型の約2倍の宿泊権利を買っている」ためで、隔年型が割安というわけではありません。価格は権利の量に比例していると考えてください。
私は隔年型を選びました。理由はシンプルで、購入価格を抑えられることと、会社員として「毎年必ず1週間のリゾート旅行」を続けられる自信がなかったからです。実際に数年運用してみて、2年に1回・7泊分というペースは我が家にはちょうどよかったと感じています。
▶ 隔年プランの注意点(非付与年も維持費がかかる等)はこちら:
HGV隔年プランとは?毎年プランとの違いをオーナーが正直に解説
ポイントの使い方|分割利用・国内リゾート・予約の現実
私には隔年で「ハワイの物件に7泊8日滞在できる分」のポイントが付与されます。このポイントの使い方には、知っておくと得する点と、知らないと損する点の両方があります。
- 分割利用ができる:7泊分を「3泊+4泊」のように分けて、年2回の旅行に充てられます。我が家も実際にこの使い方をしています
- 国内リゾートにも泊まれる:沖縄・小田原など、海外に行きにくい時期は国内利用に切り替えられます
- ただしポイント効率は海外の方が良い傾向:国内リゾートばかり使うと、同じポイントでより高価値な海外リゾートに泊まれたはず、という割高感が出ます
- 人気物件・人気時期は予約競争がある:ハワイの繁忙期などは予約解禁直後に動かないと希望どおりに取れません。旅行時期が固定されている人ほど不利になります
予約のルールも押さえておきましょう。所有物件をそのまま使う「ホームウィーク予約」はチェックイン日の約1年前(365日前)から約9ヶ月前(276日前)までの優先期間に、他のリゾートに泊まる「クラブ予約」はチェックアウト日の約9ヶ月前(276日前)から予約できます(ホクラニとグランドアイランダーは例外で約6ヶ月前/186日前から)。人気物件・人気時期は解禁直後の動き出しが重要です。私は予約の予定がない時期でも、iPadでちょくちょく空き状況を眺めて「どの時期がどれくらい埋まるか」の感覚を掴むようにしています。予約のコツの詳細は別記事でまとめる予定です。
HGVはお得?損益分岐点を実際の数字で試算
率直に書きます。私のケース(初期費用の中間値275万円・維持費年15万円)で、私がポイントで泊まっている部屋を一般予約した場合の価格(1泊65,000〜90,000円クラス)と比較すると、損益分岐点は約19〜35年という試算になりました。
「金銭的にお得か?」と問われれば、答えはNOに近いです。それでも、次のような人にとっては価値のある仕組みだと思っています。
- 2年に1回以上、必ずリゾート旅行をする習慣がある
- 普段のホテル選びでも1泊3万円以上を出すことがある(宿泊の質にお金を払う習慣がある)
- 旅行の時期を比較的自由に選べる
- 家族旅行でまとまった泊数を使える
逆に、格安ホテル派の方・旅行頻度が不定期な方・GWやお盆にしか動けない方には、正直おすすめしません。
▶ 試算の詳細と「向く人・向かない人」の全リストはこちら:
HGVはお得?元が取れる人・取れない人をオーナーが正直に解説
買って後悔したこと|それでも手放さない理由
「HGV 後悔」で検索してこの記事にたどり着いた方もいると思うので、私が実際に後悔した点を隠さず書きます。
- 維持費の為替リスクを甘く見ていた:維持費はドル建てです。購入時1ドル106〜109円→現在(2026年6月時点)150〜160円台となり、ドルの請求額はほぼ同じでも、為替だけでポイント付与年の支払額が約7万円増えました
- コロナ禍で海外旅行が遠くなった:行けない年も維持費は請求され続けます
- 円安の影響は旅費全体にも及んだ:①は維持費の話ですが、こちらは旅行そのもののコストです。宿泊はポイントで賄えても、航空券や現地の食事・交通費が割高になり、ハワイ旅行のハードルが上がりました
- 出口(売却)の選択肢が狭い:やめたくなっても、購入価格の大部分は戻ってこないと考えるべきです
それでも続けているのは、一般予約なら1泊65,000〜90,000円クラスの部屋に維持費の範囲で泊まれる体験の満足度が高いこと、そして「維持費を払っているから使わなければ」という気持ちが、忙しい日常の中で旅行を後回しにしない強制力になっているからです。旅行から帰るたびに「入っていてよかった」と思うのも、正直なところです。
▶ 後悔の詳細と続けている本音はこちら:
HGV購入で後悔したこと4選|それでも続けている理由を正直に話す
どこで買う?説明会の流れと注意点
HGVの主な購入ルートは公式の販売説明会です。私の場合は、羽田空港で声をかけられ、後日コンラッド大阪で開かれた説明会に参加しました。勧誘から説明・契約まで、すべて日本語で完結しています。私の場合は日本人の方が担当してくださったので、細かい質問もしやすかったです。
参加特典も用意されていました。私が参加した当時は「説明会に参加して購入しなかった場合、ハワイ3泊分の無料宿泊券がもらえる」という内容で、購入した場合はこの券の対象外になります(記憶では、その代わりに初年度のポイントを少し多めに付与してもらえました)。特典の内容は時期によって変わるはずなので、参加前に最新の条件を確認してください。
所要時間は、説明を聞いて検討する時間も含めて2〜3時間ほどでした。物件やポイント制度の説明を受けたあと、具体的なプランと価格が提示されます。私はその場で購入を決め、後日あらためて契約手続きと書類の受け取りのためにコンラッド大阪へもう一度足を運びました。振り返ると「その日のうちに決める必要はまったくない」と伝えたいです。維持費の長期負担・為替リスク・出口の狭さといった、この記事で書いてきた内容を冷静に検討する時間を取ってから判断しても、遅すぎることはありません。
なお、公式以外にリセール(中古)で購入する方法も存在するようですが、私自身は利用経験がないため、この記事では詳細には触れません。検討する場合は公式購入との権利の違いを必ず確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 隔年プランなら、維持費も2年に1回ですか?
いいえ、毎年かかります。私の実績では、ポイント非付与年でも36,295〜42,871円の管理費を支払っています。付与年はクラブ年会費が上乗せされ、20〜30万円規模になります。
Q. 購入した物件にしか泊まれませんか?
いいえ。ポイント制なので、HGV系列の国内外リゾート(沖縄・小田原・ラスベガス・カンクンなど)に泊まれます。「今回はハワイ、次回は沖縄」という使い方も可能です。
Q. 英語ができなくても大丈夫ですか?
私の場合、勧誘から説明会・契約まですべて日本語で完結しました。現地滞在時の細かいやり取りは別ですが、購入手続きの面で英語力が壁になることはありませんでした。
Q. 途中でやめたくなったら売却できますか?
私自身は売却を経験していませんが、タイムシェアは一般的な不動産と違って売却できる場面が限られており、購入価格の大部分は戻ってこないと考えた方がよいです。「出口が狭い」ことは購入前に必ず織り込んでください。
Q. 結局、元は取れますか?
私のケースの試算では損益分岐点は約19〜35年で、金銭面だけならお得とは言いにくいです。私は2019年夏・37歳のときに購入したので、この試算どおりなら元が取れるのは56〜72歳という計算になります。ただし「定期的にワンランク上の旅行体験を作る仕組み」としての価値をどう評価するかで、答えは変わると思います。
まとめ|HGVの維持費を払いながら、資産形成も諦めない
HGVは「投資」として見ると割に合いません。しかし「2年に1回、普段なら躊躇するグレードのリゾートに必ず泊まる仕組み」として見ると、我が家にとっては続ける価値のあるものでした。大切なのは、維持費の実額・為替リスク・出口の狭さを知った上で、自分はこの体験にお金を払う価値を感じられるかで判断することだと思います。
ちなみに我が家は、この維持費とマリオットアメックスの年会費を払いながら、新NISAで月10万円の積立も続けています。「旅もお金も諦めない」家計の実際の内訳は、こちらの記事で公開しています。
